先輩からのメッセージ
金 主賢

金 主賢 
生体情報システム科学専攻 (卒業生)



上記の専攻・分野を選んだ理由を教えてください

私は電気電子の分野(非生物系)で、学部時代から本学で学んでおりました。 多くの大学でもそうかと思いますが、大学の研究室では主に専攻する学業(学科名)分野に加えて、関連する様々な分野の研究が行われています。 学部4年次で配属される研究室選択時に、生体電気、特に中枢神経の電気活動が生物の行動を制御していることに強い興味を持ち、電気生理学的計測法(パッチクランプ法やユニット記録)や細胞内カルシウムイメージング法を用いた中枢神経系の解明に取り組んでいらした佐々木和男先生(本学名誉教授)の研究室を選択しました。 本来、企業への就職を考えていた私は、研究活動に取り組む中で、生体の仕組みについて一層興味が増したことから、研究の道へ進む事を決めました。 私の博士課程進学と同時に、生命融合科学教育部が新設されました。 指導教員である佐々木和男先生が同教育部の発足メンバーでいらしたことから、私は必然的に生命融合科学教育部に第一期生として進学することになりました。

現在のお仕事について教えてください

富山大学 学術研究部工学系 講師 ・生命融合科学教育部生体情報システム科学専攻 ・工学部工学科電気電子工学コース すなわち、母校で教員をさせていただいております。

大学院時代の研究について教えてください

主に、生理活性ペプチド(オレキシン、グレリン等)の神経細胞における作用の解明について取り組んでいました。 ラット脳スライスを対象とした、パッチクランプ法による細胞膜電位・電流計測や組織化学染色が主な武器でした(現在もですが)。

大学院や研究生活で得たもので、現在の仕事や生活に活かされていること、あるいは役立っていることはありますか?

上述の通り、現在も母校で研究活動を行っております。新規に立ち上げた実験系もありますが、学生時代に培った実験技術は無くてはならないものになっています(研究職なので当然と言えば当然ですが)。 また、電気生理実験等はある程度の経験や設備が必要となるため、経験のない研究者が実験系を立ち上げるのはなかなかハードルが高いと言われています(どの実験系もそうかもしれませんが)。 そうした中で、生命融合科学教育部の先生方(その他、学内外の先生方も)に「ちょっと、この研究でパッチ(クランプ)頼める?」、「カルシウム(イメージング)やってもらえない?」といった具合にお話を頂いて、期待したデータが得られたときは先生方の研究のお役に立てたことが大変喜ばしく、非常に誇らしい気持ちになります。

印象に残っている思い出を教えてください

生命融合科学教育部に入学した当初は電気生理の実験ばかりやっていましたので(それしか出来なかった)、学会発表でもポスターやスライドはほぼ白黒でした(膜電位・電流の黒線波形のみ)。 余所様の発表にあった、赤・青・緑に蛍光染色された、カラフルで美しい細胞の写真を見ては溜息をついたものです。 研究内容とは全く関係の無いところでモヤモヤしていた折に、異分野体験実習が初めて開講されました。 森 寿先生、井上 蘭先生がご担当のテーマ「マウス脳切片の蛍光多重免疫染色」を受講し、蛍光染色の手技を丁寧に教えていただきました。 色とりどりに染まった細胞を見て、猛烈に感動にしたことを今でも覚えています。

今後の考えているキャリアや、描いている夢を教えてください

未熟な身ですが母校の教員として、「後輩」にあたる学生達が立派な研究者・技術者に育つのを手伝いながら共に成長し、一緒に研究を深めていけたらと思います。

進学を考えられる学生さんにメッセージをください

生命融合科学教育部は医・薬・理・工を主とした、様々なバックグラウンドを持つ教員・学生で構成されております。 すなわち、同じ分野だけではなく、異分野の研究者と知り合う・協力することが非常に容易な環境であるということです。 そうして培う「分野を超えた繋がり」は在学中だけではなく卒業後にも学生の皆さんにとって有益なものになると思います。