認知・情動脳科学専攻 授業概要

認知・情動脳科学専攻科目

授業科目名 講義等の内容
情動・記憶神経科学特論
西丸 広史  教授 / 堀 悦郎  教授/松本 淳平 助教/瀬戸川 剛 助教
(英語による授業)                                     大脳辺縁系は、すべての感覚連合野から入力を受け、これら感覚情報を統合することにより認知・情動・記憶などの高次情報処理を行っている。 これら情動・記憶機能の脳内情報処理機構について講義する。
行動・自律神経機能の中枢性制御特論
西丸 広史  教授 / 堀 悦郎  教授/松本 淳平 助教/瀬戸川 剛 助教
(英語による授業)                                     大脳辺縁系は、情動・記憶情報などの高次情報を出力(行動/自律神経-内分泌)情報に変換している。 これら行動表出の神経機構、ならびに自律神経機能調節の中枢性制御機構について講義する。
細胞内シグナル伝達系特論
森 寿  教授 / 吉田 知之  准教授
(英語による授業)                                     細胞内シグナル伝達系の分子機構を概説した後、神経回路形成、シナプス可塑性、神経変性疾患におけるシグナル伝達系について最新の総説を用いて解説する。
中枢神経遺伝子工学特論
森 寿  教授 / 吉田 知之  准教授
(英語による授業)                                     遺伝子組換え実験の原理を説明した後、マウスを用いた遺伝子操作法とその応用について解説する。
細胞・システム生理特論
田村 了以  教授/中島 敏 准教授

生物は,単細胞から多細胞へと進化し,その過程で外部環境の影響を緩衝し内部環境の恒常性を維持する適応的なシステムが出現してきたと考えられる。高等動物におけるこのような適応システムの中核は中枢神経系である。一方,ある多細胞系の機能を包括的に理解するためには,細胞一個から器官・個体レベルの知識を有機的に結びつけることが肝要である。本授業では,中枢神経系の機能を,細胞(シナプス・ニューロン)からシステム(脳の各領域)のレベルで講義する。

感覚認知システム情報特論
田村 了以  教授
感覚情報は、末梢の感覚受容器で受容され中枢へと送られ る。 この感覚情報は下位の感覚中枢から上位中枢へと処理され るに従って、変換・統合が繰り返されて、高次の知覚・認知表 現が形成されていく。 本講義では、大脳辺縁系を含む大脳皮質連合野における認知・記憶情報処理について、海馬の記憶機能を中心に講義する。
脳増殖因子学特論
 山本 誠士  准教授(R5.2.1~)
元来、細胞の増殖を誘導する因子として同定された、血小板由来増殖因子(PDGF)や線維芽細胞由来増殖因子等は、脳で発現し、シナプスの形成あるいは、シナプスを介する神経伝達制御などの神経機能調節因子として作用することを示唆する新しい視点が提唱されている。 神経機能調節因子として、これらの増殖因子がどのように神経活動と関連するかについては脳高次機能を支える分子基盤を理解する上で重要である。 PDGF受容体の遺伝子改変動物から得られた新たな知見をもとに、神経組織における増殖因子機能を高次脳機能に関連づけた講義をおこなう。
神経病理学特論
 山本 誠士  准教授(R5.2.1~)
増殖因子は神経細胞の分化・生存を維持し、神経組織の保護的因子として重要である。                  増殖因子は、神経細胞の死を制御することが期待されるものである。 神経細胞死を司るグルタミン酸受容体シグナルや、apoptosisシグナルと、増殖因子シグナルを関連づけて、神経細胞死の制御機構についての講義を行う。
精神疾患学特論
鈴木 道雄  教授 / 高橋 努  准教授/古市 厚志 講師/樋口 悠子 講師
精神疾患について講義を行う。統合失調症、気分障害、不安障害、ストレス関連性障害、認知症、児童・思春期の精神障害などが含まれる。
生物学的精神医学特論
鈴木 道雄  教授 / 高橋 努  准教授/古市 厚志 講師/樋口 悠子 講師
脳と心の病的状態である精神疾患の生物学的側面、とくにそれらの病態生理と治療法について講義する。
生命高次適応科学特論
井ノ口 馨  教授/宮本 大祐 准教授/野本 真順 助教/鈴木 章円 助教

学習・記憶を始めとする脳の高次機能を支える細胞・分子機構がどこまで分かってきているのかを最近の記憶研究の知見を中心に講義する。特に,最先端の高次脳機能の研究を学生自ら紹介することにより,論文調査・発表・質疑応答に関する能力を高める。ジャーナルクラブ形式による講義は英語で行う。講演会形式による講義は,外部講師が英語又は日本語により行う。

脳認知学特論
井ノ口 馨  教授/宮本 大祐 准教授/野本 真順 助教/鈴木 章円 助教

マウスやラットなどの実験動物を用いて分子レベルから脳の認知機能を解き明かす新しい研究潮流である分子認知学の最近の話題を解説する。特に,新規な研究成果を得るために行った実験の組み立て方,論理展開,結論の導き方などを厳密に考証し,受講生の博士論文研究の進め方の参考に資することを目的とする。ジャーナルクラブ形式による講義は英語で行う。講演会形式による講義は、外部講師が英語又は日本語により行う。

中枢神経構造学特論
(未定)
記憶、情動などの高次脳機能の理解には、生理学的実験手法とともに、分子の機能の推定あるいは、推定された機能の確認に形態学的なアプローチが必須である。従来の脳構造に加えて、標的分子の分布も解析し、形態観察をもとに脳機能の解明への知見を蓄積する。 脳における血小板由来増殖因子および受容体発現を、従来の脳正常構造あるいは、傷害後の修復過程にある組織構築と関連づけて観察し、これら標的分子の機能的側面を解釈する。
機能的脳神経外科学特論
黒田 敏  教授/赤井 卓也 准教授
機能的脳神経外科治療の対象となる疾患の基礎的知識、病態を学び、実際の外科治療法を理解させる定位脳手術法の発展の歴史、またその対象疾患を講義する。 パーキンソン病、本態性振戦、書痙、ジストニアなど不随運動を症状とする疾患、また慢性疼痛の手術の実際をビデオ、スライドを供覧しながら理解させる。 特に、これまで行われてきた凝固術と比較しながら、deep brain stimulation(DBS)の有用性を説明する。 その他、痙性斜頚、難治性てんかん、顔面痙攣などの疾患に関しても病態、外科手術法を理解させる。 また課題として最近の機能的脳神経外科に関する論文を読み、感想を提出させる。
脳機能再建学特論
黒田 敏  教授/赤井 卓也 准教授
水頭症などの先天奇形疾患の病態、発生機序について、中枢神経系の発達、分化や脳血管系の影響、調節因子の存在と役割などの視点で検討する。 特に疾患発生の予防、神経細胞の分化、再生の基本機構の解明を目指すことが主眼である。 また、進歩する脳神経機能のマッピングや解析、診断への臨床応用、機能的脳神経外科手術の現状につき紹介し、生理機能を踏まえた低侵襲手術のさらなる発展と具体的方策への理解を深める。
小児発達学特論
足立 雄一  教授
子どもの成長と発達は遺伝素因や環境要因によって影響される。今日、神経発達障害は子どもたちの慢性疾患のなかで頻度の高いもののひとつである。本講義では、子どもの正常な成長と発達について概説し、さらにいくつかの発達障害についてディスカッションしたい。
神経回路形成特論
一條 裕之  教授/竹内 勇一 助教/中村 友也 助教
(英語による授業)                                     神経細胞は軸索を伸長させ、正確な回路を形成する。回路は細 胞表面や細胞外にある目印となる分子(ガイド分子)とその受 容体の相互作用によって形成される。本講義では神経回路形成 研究の歴史をたどり、現在の理解の総体を議論する。
神経回路機能成熟特論
一條 裕之  教授/竹内 勇一 助教/中村 友也 助教
(英語による授業)                                     神経回路形成の後期には神経細胞活動性に依存して回路の構 造と機能が調節される。本講義では神経細胞活動性依存的な回 路形成と、経験に依存した回路の改変について学ぶ。
行動生理学特論
高雄 啓三  教授
モデル動物を用いた実験系は生命科学研究において必要不可 欠と考えられる。本特論では、実験動物を扱うにあたって必要 な基本的知識を説明した後、遺伝子改変マウスを対象とした行 動解析の原理と応用について解説する。

局所神経回路機能形態学特論

伊藤 哲史 教授

(英語による授業)                                     動物は外界から生存に必要な情報を取り出すための感覚神経回路を備えている。階層的神経回路によって物理的な刺激が神経回路の段階を上がるごとに抽象度を増した形で符号化され、これによってノイズにロバストな感覚認知が可能となる。本講義では感覚情報がどのような神経回路によって符号化されるかについての最新の知見について学ぶ。

脳遺伝子発現解析実習
森 寿  教授 / 吉田 知之  准教授
(英語による授業)                                     神経活動依存的な遺伝子発現制御について解説した後、マウス脳遺伝子発現をRT-PCR法により測定する。
侵襲的脳活動計測実習
田村 了以  教授/中島 敏 准教授
慢性微小電極法などの侵襲的脳活動計測法は、これまで高次脳機能メカニズムの解明に多大な成果を挙げてきた。また、最近は多チャンネル同時記録など、技術的な向上が進み,さらに多くの知見を生み出しつつある。慢性微小電極法などの侵襲的脳活動計測法は,中枢神経系の計算素子であるニューロン一個一個のレベルでの処理過程を直接に計測できる点で、近年開発が進む非侵襲的脳活動計測法では代替不可能な情報を得るきわめて重要な技法と位置づけられる。本講義は、侵襲的脳活動計測法として,神経活動の光計測法や覚醒行動下動物でのニューロン活動記録法・深部/皮質脳波記録法などの各手法について解説する。
神経病理学実習
 山本 誠士  准教授(R5.2.1~)
当該講座における研究テーマとして開発している脳遺伝子改変動物を用い、各種神経興奮刺激を与え、刺激後の興奮性などの行動解析と、組織異常を形態学的に抽出する。脳の過剰興奮によりもたらされる異常の理解を深める。
RNA制御学実習
井ノ口 馨  教授 /野本 真順 助教/鈴木 章円 助教
マイクロRNAなどの機能性RNAは生体内で様々な働きをしている。Short hairpin RNA(shRNA)を用いた遺伝子機能の阻害(ノックダウン)実験を学ぶ。
非侵襲的(神経生理学的)脳活動計測実習
西丸 広史  教授 / 堀 悦郎  教授 / 鈴木 道雄  教授 / 松本 淳平 助教 / 瀬戸川 剛 助教
脳波、事象関連電位、双極子追跡法等によるヒトの脳機能測定方法を学ぶ。
非侵襲的(非神経生理学的)脳活動計測実習
西丸 広史  教授 / 堀 悦郎  教授 / 鈴木 道雄  教授/松本 淳平 助教 / 瀬戸川 剛 助教
脳血流トポグラフィー、機能的磁気共鳴画像(fMRI)、近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)、シングルフォトンコンピュータ断層撮影(SPECT)、ポジトロンエミッション断層撮影(PET)などによるヒトの脳機能の測定法を学ぶ。
脳身体相関解析実習
西丸 広史  教授 / 堀 悦郎  教授/松本 淳平 助教 / 瀬戸川 剛 助教
(英語による授業)                                     筋電図、自律神経機能(呼吸、ECG、血圧、血流)、脳波、および脳血流間のスペクトル解析方法を学ぶ。
脳機能診断学実習
鈴木 道雄  教授/古市 厚志 講師 /樋口 悠子 講師
脳形態および機能画像を用いて、脳の病的状態の診断方法を学ぶ。
神経解剖学比較神経解 剖学実習
一條 裕之  教授 /竹内 勇一 助教/中村 友也 助教
(英語による授業)                                     ヒトを含む種々の神経系の標本を観察して、脊椎動物の神経系 の構造を学ぶ。
行動生理学実習
高雄 啓三  教授
行動は脳機能の最終的な発現であると考えられる。本実習では マウスを対象とした行動解析の原理を学び、実際にマウスで行 動の評価を行う。

局所神経回路機能形態解析実習

伊藤 哲史 教授
(英語による授業)                                     局所神経回路網の機能構築の解析するための神経解剖学技法と神経生理学技法について学ぶ。