先輩からのメッセージ
大石 直哉

大石 直哉 
認知・情動脳科学専攻 (卒業生)



上記の専攻・分野を選んだ理由を教えてください

心や記憶のメカニズムなどに学部生の頃から興味がありました。修士課程までは関東の大学院で性行動の制御に関する脳の研究をしていましたが、その過程でより記憶・学習に関する脳機能への興味が強くなっていきました。 その頃、学部生時代に富山大学の井ノ口馨先生の講演を聞いたのを思い出し、井ノ口研究室を見学をした上で、博士課程からの進学を決めました。

現在のお仕事について教えてください

化学メーカーの製薬部門で創薬研究をしています。現在は、薬剤候補の物質を動物や培養細胞、酵素等を使用して評価し、より優れた薬剤候補物質を生み出すための研究をしています。 これまでの専門とは異なる分野で、実験手法も初めて経験する事が多いですが、日々勉強しながら頑張っています。

大学院時代の研究について教えてください

海馬のCA3と呼ばれる脳領域は解剖学的特徴や数理モデルの研究により、蓄えられた記憶・情報同士が相互作用を起こし、新たな連合記憶が起こることが示唆されていました。 しかし、この仮説が正しいかは、動物実験レベルでは分かっていませんでした。 そこで、動物行動学的手法や、光遺伝学的手法(光により特定の神経細胞の活動を制御する技術)、電気生理学的手法等を駆使し、海馬のCA3領域に蓄えられた2つの異なる記憶が相互作用を起こし、新たな連合記憶ができ得ることを動物の行動レベルで初めて示しました。

大学院や研究生活で得たもので、現在の仕事や生活に活かされていること、あるいは役立っていることはありますか? 

研究職に就いているので、これまで経験した研究・実験の経験の全てが役立っています。具体的には、新たな実験系の構築の進め方や、実験スケジュールの立て方、プレゼンテーションのテクニックなどは特に役立っています。 また、ジャーナルクラブ(論文紹介)を通じ、難解な論文を根気強く理解する努力で身に着いた読解力も、現在、論文を読む際にとても役立っています。

印象に残っている思い出を教えてください

エジプトやバングラデシュからの留学生が非常に多い環境で研究できたことは今となっては貴重な経験でした。ラマダン(イスラム教徒の断食)後の夕食一緒に行くなど、異文化に触れることもできました。

今後の考えているキャリアや、描いている夢を教えてください

自らの創薬研究を通じて新薬を世の中に出したいです。また現在、社会人の山岳会へ入り、比較的活発に活動しているので、趣味の登山もステップアップしながら続けていきたいです。

進学を考えられる学生さんにメッセージをください

富山大学には神経科学分野で優れた研究を行う研究室が多くあり、神経科学分野を志す学生にとって非常に魅力的な所だと思います。富山出身の学生以外にも、もっと目を向けてもらいたいと思っています。