先輩からのメッセージ
藤井 一希

藤井 一希 
認知・情動脳科学専攻 (在学生)



上記の専攻・分野を選んだ理由を教えてください

学部生時代は獣医学部に所属しており、動物に接するなかで彼らがなにを感じ、なに考えているのか、それは私達と同じなのかそれともどこか違うのかということを疑問に思うようになりました。 また、自分自身の情動や思考がどのような分子的メカニズムによって機能しているのか知りたいと考えるようになりました。 その際に、遺伝子改変動物を用いた行動解析を知り、分子というミクロな変化から、行動の変化という個体で最もマクロな表現型を見るという研究に惹かれ、“こころ”というものはなんなのかを研究できるのではと思い神経科学の分野に足を踏み入れました。

現在のお仕事について教えてください

大学の動物実験施設で助教として施設管理と自らの研究を行っています。

大学院時代の研究について教えてください

近年までその存在が見過ごされてきた、全長が100アミノ酸に満たないマイクロペプチドの脳における機能を研究していました。 現在、ヒトやマウスのゲノムの全塩基配列は解読されましたが、それらの配列がどのような情報もってどのような機能を果たしているかという全容はいまだ不明です。 しかし、ゲノムの塩基配列情報が明らかになったことで未知の遺伝子の探索・機能予測が進められ、いままで見過ごされてきた未開拓なタンパク質の存在が確認されつつあります。 私は、そのようなタンパクのなかでもマイクロプロテインと呼ばれる小さなタンパク質の機能に着目し、それらの遺伝子欠損マウスを作製して、知覚・感覚から高次認知機能まで幅広い領域をカバーした網羅的行動テストバッテリーを行い、脳機能における役割を解析していました。 また、マウスを用いた瞑想の研究をすべくモデルとなる実験系の開発をしていました。

大学院や研究生活で得たもので、現在の仕事や生活に活かされていること、あるいは役立っていることはありますか?

共同研究を通して様々な研究者と関われたことは大きな財産であると考えています。 自分では考えていなかったような視点での研究や、その分野の最新の知見にふれる機会に恵まれたことは大変ありがたかったです。 また、研究を通したネットワークで繋がることで自分ひとりでは不可能なことでもだれかと協力すればいいのだという考え方を学びました。

印象に残っている思い出を教えてください

私は、他の大学院から転入学という形で富山にやってきました。 元の所属でも富山大学でも初めての事例であったのですが、学務課の事務のみなさまの多大なご協力で無事に入学できたときは感謝でいっぱいでした。 また、入学した年は北陸地方が37年ぶりの大雪にみまわれ、太平洋側からきた私は“これが雪国なのか”と四苦八苦したのもよい思い出です。それ以来大雪はなく、最初の年でなければよかったのにとはいまも思います。

今後の考えているキャリアや、描いている夢を教えてください

博士課程を修了したここからが研究者としてのスタートだと思い、実直に楽しんで研究を続けていきたいと考えています。

進学を考えられる学生さんにメッセージをください

自らのやる気と熱意があれば多くのことが実現できるとても良い環境だったと私は感じています。 とはいえ百聞は一見にしかず、私も実際に研究室を見学して進学を決めたので、興味があるかたは気軽に見学を申し込んでみてはと思います。