【9/27】令和5年度生命融合科学教育部セミナーを開催しました。

液-液相分離が規定するRNA 代謝

演者:増田章男 准教授 名古屋大学大学院医学研究科

日時:9月27日(水)17-18

場所:杉谷キャンパス  薬学部研究棟II セミナー室8

参加人数:37名 

【報告内容】

細胞生物学の分野で近年注目を集める液-液相分離(LLPS)による細胞機能制御、特にRNAが関係したLLPSの研究分野を取り上げたいと考え、同分野で活発にご研究をされている増田章男先生(名古屋大学大学院医学研究科准教授)を薬学部の廣瀬豊先生から紹介いただき、大学院セミナーとしてご講演いただきました。講演では、液-液相分離の基礎、タンパク質の相分離における天然変性領域(IDR)の重要性、LLPSによる核内構造の例などをわかりやすくご紹介いただいた後、核内でのRNA代謝に関与するRNA結合タンパク質の形成する核内LLPSの機能構造の研究成果を講演いただきました。相分離したRNA結合タンパク質がRNAの存在に応じてタンパク質ごとに異なるメッシュ状構造を形成する発見、長いエキソンの出現とIDR領域の獲得が強く関連することの発見など、非常に興味深い成果を紹介いただきました。これらRNAタンパク質複合体による液-液相分離はRNA分子生物学の基礎研究の点だけでなく、疾患や分子進化など幅広い領域と関連する研究分野であることが印象づけられました。杉谷だけでなく五福キャンパスからも多数の参加者があり、予定時間を超えて活発に質疑応答がなされました。
(報告 井川善也)